アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

2021-06-07から1日間の記事一覧

太宰治を読む(8)「兄たち」

太宰治の本名は津島修治である。太宰は⻘森県北津軽郡⾦⽊村の出⾝である。太宰の⽣家は県下有数の⼤地主であった。津島家は「⾦⽊の殿様」と呼ばれていた。⽗は県議会議員も務めた地元の名⼠であり、多額の納税により貴族議員にもなった。津島家は七男四⼥…

太宰治を読む(7)「兄たち」「鉄面皮」

「太宰治全集」にて私には⼀時期、太宰と⻑兄で家⻑たる兄・⽂治とのやりとりがある作品箇所だけ、わざと選んで読み返す楽しみの趣向があった。太宰治の本名は津島修治である。太宰は⻘森県北津軽郡⾦⽊村の出⾝である。太宰の⽣家は県下有数の⼤地主であっ…

太宰治を読む(6)「パンドラの匣」

太宰治は、すぐに薬物中毒になったり何度も自殺未遂を繰り返したりで「生れて、すみません」の陰気な暗い男であり、よって彼の作品も「斜陽」(1947年)や「人間失格」(1948年)のような暗い陰気な小説が多いように一般に思われがちだが、実はそうではない…

太宰治を読む(5)「トカトントン」(中島敦「悟浄出世」)

特集「太宰治を読む」だが、今回は趣向を変えて中島敦「悟浄出世」(1942年)について。そして最後に少しだけ、本当に少しだけ太宰治「トカトントン」(1947年)のことなど。中島敦は、かなりよい作家だと思う。この人は病気で三十代で若くして亡くなったた…

太宰治を読む(4)「畜犬談」

太宰治「畜犬談」(1939年)は基本、滑稽路線でおもしろい。しかし最後は「芸術の目的」をぽろっと白状して話を締める、よい小説だ。主人公(たぶん太宰)は犬嫌いである。先日、通りすがりの犬にガブッと咬まれた友人の災難を紹介した後、次のように「犬へ…

太宰治を読む(3)「眉山」「お伽草紙」

太宰治といえば「人間失格」(1948年)を書いた人で、何度も自殺未遂を繰り返し五度目の心中にていよいよ逝(い)ってしまった、何だかいつも「生れてすみません」などと言っているような陰気で暗い友人もいない孤独な人のように思われがちだが、実はそうで…

太宰治を読む(2)「惜別」

書簡か何かの作品か、どこに書いていたのか思い出せないが、太宰治が「日本には芥川龍之介という短編小説の大変な名手がいるが、その後この分野でいい人が出ていないので、ひとまず自分が頑張ってみたい」という旨のことをいっていた。短い中でエッセンスを…

太宰治を読む(1)「津軽」

太宰治、この男は四回「自殺」未遂をやって、五回目にとうとう逝(い)ってしまう。猪瀬直樹「ピカレスク・太宰治伝」(2000年)を読むと分かるが、太宰治の重ね重ねの「自殺」は決して本気で死にたいと思って「自殺」をやっているわけではない。 太宰の度重…