アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

大学受験参考書を読む(44)塚原哲也「東大の日本史 25カ年」

教学社から出ている「難関校過去問シリーズ」、塚原哲也「東大の日本史・25カ年」(2008年)に絡(から)み、東京大学二次試験、日本史論述問題の傾向や対策以前に日本史の論述問題への対応として一般的な事柄をまず述べておくとすれば、以下のようになる。 …

大学受験参考書を読む(43)船口明「決める!センター現代文」

船口明「きめる!センター現代文」(2014年)は、センター試験・現代文対策の良い大学受験参考書だ。私は読んで大変に勉強になった。近い将来、センター試験・現代文のような客観式選択の国語の大学入試はなくなって別の試験方式になってしまうかもしれない…

大学受験参考書を読む(41)竹国友康「現代文と格闘する」

河合塾の河合出版から出ている竹国友康「現代文と格闘する」(2006年)は、安易な解法ルールや公式の提示、選択肢の見分け方などではなく、問題の現代文の文章そのものを正攻法で逃げることなく本質的に読解する、まさにタイトル通り「現代文と格闘する」本…

大学受験参考書を読む(40)有坂誠人「例の方法」

以前に、代々木ゼミナールに出講していた現代文講師、有坂誠人による「例の方法」というのがあった。課題現代文を読んで内容を理解しなくてもよい、事務的で形式的な作業をやるだけで正解が導き出せるという究極の「方法」である。有坂によれば、「あまりに…

大学受験参考書を読む(39)堀木博禮「入門編 現代文のトレーニング」

以前に代々木ゼミナールの現代文講師であった堀木博禮(ほりき・ひろのり)が、同じく元代ゼミ同僚の英語講師、西きょうじの書店売り参考書「ポレポレ英文読解プロセス50」(1993年)に関し、「人の参考書を読み通したのは初めてだ。英語は読めなかったが、…

大学受験参考書を読む(38)今井健仁「現代文の解法 東京大学への道」

今井健仁「現代文の解法・東京大学への道」(2009年)は副題が長く、「東大法学部生が明かす読解力不問の論述パターン学習」というサブタイトルがついている。また「東京大学法学部・現役東大生が明かすパターン学習による完全現代文攻略本」ともあり、高校…

大学受験参考書を読む(37)青木裕司「世界史講義の実況中継」

語学春秋社の「××講義の実況中継」シリーズは、予備校での生の講義を(おそらくは)その場で録音し講師のしゃべりをそのままテープ起こしした大学受験参考書であり、私が学生の時にはすでにあった。 ところで、学校を卒業してからも授業中に先生が脱線して熱…

大学受験参考書を読む(36)荒巻豊志「荒巻の新 世界史の見取り図」

現在、世界史の大学受験参考書を出している予備校講師の方々は、どうして左翼の左寄りか、はたまた右翼の右寄りの極端な史観の持ち主が多く、中庸(ちゅうよう)を行く健全な歴史認識を持つ人がいないのか。 前者の左寄り史観の代表といえば、「世界史B講義…

大学受験参考書を読む(35)中谷臣「世界史論述練習帳 new」

中谷臣「世界史論述練習帳new」(2009年)の良さは、大学入試の世界史論述に挑む際に場当たり的でない一貫したアプローチからの論述作成方法を具体的に教えてくれる所にある。すなわち「書き出す前の事前の構想メモ作成」と「問題の問いかけパターンに応じた…

大学受験参考書を読む(34)菅野祐孝「日本史講義の実況中継」

菅野祐孝という人は日本史の予備校有名人気講師だが、「良くも悪くも予備校講師らしい人」だ。菅野本人や氏の日本史講義をかつて受けた人には申し訳ないけれど、私はこの人は、いわゆる「カリスマ人気予備校講師」として功罪両面あると思う。 まず「功」から…

大学受験参考書を読む(33)八柏龍紀「日本史論述明快講義」

八柏龍紀(やがしわ・たつのり)「日本史論述明快講義」(2006年)は、東京大学や一橋大学の難関国立二次の論述過去問を主に扱った大学受験参考書であり、一読して日本史論述の背景知識や解答アプローチ、模範解答など節々に「明快」な読後感の好印象が鮮(…

大学受験参考書を読む(32)石井貴士「本当に頭がよくなる1分間勉強法」

(「大学受験参考書を読む」のシリーズだが、今回は大学受験参考書ではなく、例外的に一般の自己啓発本についての書評を載せます。) 私は普段、自己啓発や能力開発や速読術の勉強法の類(たぐ)いの書籍はほとんど読まないのだが、石井貴士「本当に頭がよく…

大学受験参考書を読む(31)出口汪「現代文講義の実況中継」(「××力」信仰批判)

ここ数年、書店に行けば「××力」や「××する力」の似たようなタイトルの教育本・自己啓発本が、やたら大量生産で販売されており私は閉口している。読解力、集中力、直感力、会話力、論理力など。挙げ句の果てに質問力、段取り力、雑談力、人脈力、逆転力、鈍…

大学受験参考書を読む(30)「ちくま評論選 高校生のための現代思想エッセンス」

筑摩書房から出ている「ちくま評論選・高校生のための現代思想エッセンス」(2012年)は、戦後の代表的評論の良い書き手の良い評論を抜粋し集めて各評論文のさらに良質で読み所な、まさに「高校生のための現代思想エッセンス」を凝縮し一気にダイジェストで…

大学受験参考書を読む(29)田村秀行「本音で迫る小論文」

田村秀行「本音で迫る小論文」(1988年)は、大学入試の小論文対策の受験参考書である。本書は、田村秀行監修、梵我堂主人著の「本音で迫る小論文」の何やらめんどくさい体裁の書となっている。実際に執筆しているのは代々木ゼミナールの現代文講師の田村秀…

大学受験参考書を読む(28)田村秀行「田村の本音で迫る文学史」

田村秀行「田村の本音で迫る文学史」(1995年)は、大和書房の「受験面白参考書」(略して「オモ参」というらしい)の大学受験参考書シリーズの中の一冊だ。試験に出る文学史対策の内容で、日本近代文学の主な流れ、すなわち文学運動や主要文学会派、重要な…

大学受験参考書を読む(27)田村秀行「田村の現代文講義」

昔から代々木ゼミナールが出す、「代々木ゼミ方式」という冠タイトルが付いた代々木ライブラリーの大学受験参考書が好きだった。高校生の頃、友人が学校に持って来ていて、あの書籍としての洗練された感じが。まず表紙カバーの装丁が代々木ライブラリーの本…

大学受験参考書を読む(26)中野芳樹「現代文読解の基礎講義」

駿台文庫の中野芳樹「現代文読解の基礎講義」(2012年)は、評論問題に関する限り、本書の「現代文読解」の方針は筆者の「書き方の工夫」=「表現法・修辞法(レトリック)」が施されている箇所にマーキングで逐一記しを書き入れながら一回の読みで重要なポ…

大学受験参考書を読む(25)川戸昌 二宮加美「近代文語文問題演習」

大学入試の国語で近代文語文を出題する大学が少数ながらあり、しかしながら標準的な高校の国語授業のカリキュラムに近代文語文はなく、また受験対策指導の補講も高校では準備されないケースが多いため、予備校によっては特別に「近代文語文演習」の対策講座…

大学受験参考書を読む(24)栗原隆「基礎徹底 そこが知りたい古文」

栗原隆「基礎徹底・そこが知りたい古文」(2010年)は、以前に同じ駿台文庫から出ていた同著「ボーダーを超える古文」(1997年)に加筆し改訂したものである。 新著「そこが知りたい古文」の内容構成は、旧著「ボーダーを超える古文」とほぼ同じである。しか…

大学受験参考書を読む(23)高橋正治「古文読解教則本」

駿台予備学校の高橋正治「古文読解教則本」(1988年)は、副題が「古語と現代語の相違を見つめて」であり、この参考書は古典文法の主な意味・用法を難易別の典型古文の例文を集めて収録した英語の構文集のような体裁をとっている。著者の高橋師によれば、「…

大学受験参考書を読む(22)関谷浩「古文解釈の方法」

昨今の社会で勉強の教え方やスポーツ指導やニュース解説で説明が複雑だったり内容が難しかったりすると、それだけで忌(い)み嫌われ、その分「易しく丁寧な解説で誰にでも分かりやすい」や「短時間で最小限の努力で効率よく習得できる」の易しくて楽に理解…

大学受験参考書を読む(21)棟明郎「思考訓練の場としての現代国語」

以前にあった「通信添削のオリオン社」から出ていた大学受験参考書で長い間、絶版・品切で入手困難となっていたが、近年待望の復刊・再発を果たした棟明郎(とう・はるお)「思考訓練の場としての現代国語」(1979年)は、同シリーズで同様に復刊・再発の多…

大学受験参考書を読む(20)多田正行「思考訓練の場としての英文解釈」

私は下の世代で同時代的には正直知らないのだが、以前に「通信添削のオリオン社」というのがあって、そこで添削指導をしていた多田正行が執筆した英語の大学受験参考書に「思考訓練の場としての英文解釈」というのがある。 長い間、絶版で入手困難となってい…

大学受験参考書を読む(19)小西甚一「国文法ちかみち」

ちくま学芸文庫が昔の絶版の大学受験参考書を文庫サイズで復刻・再販させる試みを一時期熱心にやっており、絶版・品切の入手困難で古書価格が異常に高騰し高額取り引きされて、昔の大学受験参考書が投機の対象になってしまう状況は正直よくないと私は思って…

大学受験参考書を読む(18)高田瑞穂「現代文読解の根底」

近年、ちくま学芸文庫より復刻・復刊された高田瑞穂の現代文参考書「新釈・現代文」(1959年)に続く、高田瑞穂「現代文読解の根底」(1982年)である。本書は全十二章からなり、それに高田の筆による「付記・解説」を付す。復刻・再版にあたり高田瑞穂の弟…

大学受験参考書を読む(17)高田瑞穂「新釈 現代文」

たまに書店をうろついていると、よいことがある。何と!高田瑞穂「新釈・現代文」(1959年)が復刊されていた。「教養としての大学受験国語」(2000年)の石原千秋が「よい、よい」というので(石原は成城大学出身で高田瑞穂の弟子である)、版元廃業で絶版…

大学受験参考書を読む(16)桜井博之「英文読解の着眼点 言い換えと対比で解く」

桜井博之「英文読解の着眼点・言い換えと対比で解く」(2015年)は、参考書のタイトル通り「言い換えと対比」で読み解く、そのうち特に後者の、主に問題英文全体にある「対比」の対立構造に着目して英語を読み解こうとする問題集だ。収録問題数は全20問であ…

大学受験参考書を読む(15)山口俊治「英語構文全解説」

山口俊治「英語構文全解説」(2013年)は、「S+V」から始まる英語構文の英文構成の全パターンを網羅で挙げて解説を施した文字通り「英語構文全解説」な参考書だ。もちろん「O+S+V」などの倒置、必ずしも「S+V」から始まるとは限らない例外パターン…

大学受験参考書を読む(14)薬袋善郎「基本からわかる英語リーディング教本」( 薬袋善郎の「品詞分解」と伊藤和夫の「構文主義」)

以下は、英文中の各単語の品詞(名詞、動詞、形容詞など)と働き(主語、目的語、補語など)とを逐一押さえ、徹底的に図示し明示して英語を構造分析的に読み解こうとする、いわゆる「品詞分解」の英文解釈の方法を教授する薬袋善郎(みない・よしろう)「基…