アメジローのつれづれ(最新)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

大学受験参考書を読む(50)武井正教「新編集・武井の体系世界史」

世界史は日本史の一国史とは異なり、様々な地域の様々な国の歴史を同時進行で押さえ理解しなくてはいけない。

例えばヨーロッパ地域の「ヨーロッパ史」をやり、また同時に中国地域の「中国史」をやりながら双方の東西世界のつながりまで理解する。例えばフランスの歴史をずっと定点観測で時代順に連続的に押さえていく一国史の「タテのつながり」だけでは不十分である。「紀元前6世紀はアジアでは人間精神変革の契機にあたる世紀でインドでブッダ、中国で孔子が同時代に出現した」とか「中国に漢という国があった頃、そのとき西のヨーロッパにはローマ帝国があった」というような、いわゆる「ヨコのつながり」が重要だ。

そうした世界史の「ヨコのつながり」に着目し、丁寧にまとめ教えてくれる大学受験参考書があるとよい。近年なら東進ハイスクールの斎藤整「ヨコから見る世界史」(1999年)が、そんな同時代史編集視点の参考書に当たると思うが、昔から「ヨコのつながり」の同時代史的世界史の大切さを切々と説いている予備校の先生がいた。元代々木ゼミナール講師の武井正教である。

武井正教は、弟さんの武井正明も代ゼミの地理の講師で「武井兄弟」とか「武井ブラザーズ」と昔は呼ばれていた(笑)。それで近年、書店で武井正教「新編集・武井の体系世界史・構造的理解へのアプローチ」(2006年)を見つけたとき、私は非常に納得して腑(ふ)に落ちた感があった。というのは、武井正教「展開する世界史・基礎編」(1988年)という参考書が以前に出ていた。その著書の前書きに「本書はあくまでも基礎編であり、いずれ近いうちに続編として世界の各地域の横のつながりを明確にした同時代史な立体世界史『展開する世界史』の応用編を執筆出版したい」旨が書いてあった。

それから20年近く経って「新編集・武井の体系世界史」が発売されて、それを書店で発見、「武井先生、粘り強く継続して仕事されて、いよいよ自身の世界史を完成させたんだな。『展開する世界史・基礎編』の続編たる応用編が数十年ぶりに出て、体系化された武井先生の展開する世界史がついに完成か」という思いだ。

しかしながら実際に本書を手に取って見ると、非常に使いづらい。どのように使用してよいか正直、戸惑うところがある。とても細かく、びっしり書き入れられ、まとめられた無機質な年表のようだ。やはり、こういった年表形式のサブノートは、完成したものを印刷し参考書にして一方的に渡されるより、学生が自分で工夫してノート作成したり、武井正教の世界史講義に実際に出席して、その場で直に指導を受けながら一緒にノートを作っていかないと意味がない、受験生の身にならない気がする。

だからなのか、私塾の栄光ゼミナールの栄光出版というあまりメジャーでない出版社から、しかも価格設定がかなり高めで出ている。「新編集・武井の体系世界史・構造的理解へのアプローチ」は正直、そこまで一般ウケしそうにはない世界史の大学受験参考書ではある。