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大学受験参考書を読む(64)宮尾瑛祥「宮尾のアッと驚く英語長文読解ルール」

宮尾瑛祥(みやお・えいしょう)「宮尾のアッと驚く英語長文読解ルール」(1988年)は、パラグラフリーディングないしはディスコースマーカーを指標とする英語長文の読み方を教授する大学受験参考書だ。ここでいう「パラグラフリーディング」とは、各段落ごとに要点を把握して、同時に先の文内容も予測しながらマクロの視点で英語長文を読み進めていくこと。また「ディスコースマーカー」とは、文脈の流れや構造、文と文との論理関係を示す単語や句のことであり、そうしたマーカーとなる語に注意しながら英語長文を読んでいく方法を指す。

今日の2000年代以降の受験英語指導では、パラグラフリーディングないしはディスコースマーカーを指標とする英語長文の読み方を大学受験生に教える教師は多くいるが、これらパラグラフリーディングの読み方指導をすでに1980年代からやっていた代々木ゼミナールの宮尾瑛祥は、さすがに早いと思う。パラグラフリーディングは、一文精読では英文を読めるのだが、それが長文になると読んでいて既読の内容が整理できず、また先の内容予測も全くできないとか、長文英語を最後まで読んだけれども全体の大意や要旨が明確に把握できないという人に特に効果のある長文読解法といえる。

宮尾瑛祥「アッと驚く英語長文読解ルール」には、早稲田大学ら主に難関私立大学の過去入試の長文英語が掲載されている。その問題演習のおよその手順は以下だ。

(1)まず、そのまま問題英文が掲載されてある。(2)それから次のページで問題英文中で必ずチェックするべきトピック語やキーセンテンス、時に文の流れが大きく変わる論理展開を示す単語や句(例えば「for・example 」の具体化を示すマーカーとか、「not・A・but・B」の対立を表すマーカーとか、「in・short」や「therefore 」の要約・まとめのマーカーなど)が太字で印字されている(解答アプローチ)。ここでこの太字の各種マーカーに全部もれなく気づき、主張の文や文脈の流れや論理展開を意識しながら読めたかどうか、本参考書の読み手は各自チェックするわけである。(3)その上で今度は一文ごとの英文解説に移る(パラグラフ・リーディングとリーディング・メソッド)。この場合、構文解説ら一文精読の説明ではなくて、全体からの論理の流れ、例えば、ここまで英文を読んできて絶対に読み逃してはいけない押さえておくべき主張文や議論の流れの構造、そしてこの時点でできる先の英文の内容予測などの説明となる。この部分は、もはや英語の参考書ではなく、まるで日本語の現代文の紙上講義を受けているような錯覚にすらなる(笑)。それから、いよいよ設問ごとに問題を解いて解答解説をしていく。(4)そして最後に改めて問題英文の日本語訳全文と解答の掲載があって(全訳とAnswer )、1つの問題演習がこれで終わる、の手順になっている。

宮尾「アッと驚く英語長文読解ルール」は昔の参考書ではあるが、著者の紙上でのパラグラフ・リーディングに基づく長文読解解説の手際(てぎわ)が相当によく、かなり手慣れているため、スムーズに早く読めて比較的短期間で英語の長文読解の要領(コツ)が理解でき身に付く。もちろん、パラグラフリーディングというマクロな視点から長文英語を広くかつ深く読む方法教授が本書の主眼であるので、本参考書では一文ごとの構文解説や日本語訳の作り方についての詳しい親切な解説はない。本書は、そういった英語の基本はすでにマスターしている、ある程度は英語ができる学生に向けた上級レベルの英語の大学受験参考書である。

最後に本書カバー表紙にある紹介文を載せておく。

「受験生の多くが勘違いをしていることに、長文を直訳的に読解しようとしていることがある。これでは長文読解問題に対応することはできない。読解ルールさえマスターすれば、全訳する必要はなく、また知らない単語にいらざる恐怖心を抱くこともなくなるのだ。長文読解のコツを会得し、読解ルールに従って読み解く作業をすれば、長文のキーアイデア、キーセンテンスがすぐわかり、簡単にその長文問題の主題(トピック)を見つけ出すことができる。あとは問題に対応して正答を書き入れてゆくだけだ」