アメジローのつれづれ(集成)

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大学受験参考書を読む(68)箕輪浩嗣「真 解法への道 数学ⅠAⅡB」

大学受験を終えた後にも「大学受験参考書を読む」などをやって大学受験の参考書を遊びで読んだりしていると、私が高校生で大学受験生であった1980年代と比べて現在は相当に良質な質の高い参考書が多く出ていることに驚かされ、感心させられる。これには大学入試の過去問の蓄積による傾向・対策の知見充実と、問題解き方指南の教材研究が今日では昔よりもかなり進んで、受験指導の高校教師や私塾産業の予備校講師らが、誰もが高得点を取得して難関大学にも合格できる方法論の技術に習得し相当にこなれているからだと考えられる。確かに昨今、出されている新しい大学受験参考書を手に取り読んでみると、私が高校生であった80年代の参考書とは異なり、広い範囲をカバーし、かつかなりの内容を掘り下げた親切で分かりやすい本質教授な優れた書籍が多いのである。

大学受験参考書の科目の中で特に数学に関しては、教え方の技術が格段に改良・進歩して昔よりも明らかに良い参考書が数多く出ている。「私が受験生の時にこうした良い参考書を読めていればなぁ」の現在の大学受験生を羨(うらや)む思いも正直、ある。

箕輪浩嗣「真・解法への道・数学ⅠAⅡB」(2020年)は先日、購入して問題演習をやり解説を読んだが、これはまさに「昔の参考書とは異なり、広い範囲をカバーし、かつかなりの内容を掘り下げた親切で分かりやすい本質教授な優れた昨今の良書」の典型だと思う。ゆえにお勧めである。

私が大学受験生の時代には「大学への数学」と言えば、研文書院の黒いカバー表紙の参考書「大学への数学」と、東京出版から毎月出ている月刊誌「大学への数学」とが同タイトルでまぎらわしくあった。「大学への数学」ら「大学への××」シリーズの黒カバー表紙の本格派な大学受験参考書を出していた研文書院は、後に廃業し今日では存在していない。そのため研文書院の「大学への数学」シリーズは今や絶版・品切れとなっている。

箕輪浩嗣「真・解法への道」は、後者の「大学への数学」の月刊誌を今でも出している東京出版による近年の数学参考書である。本書表紙には「難関大学受験対策」とあり、難関国公立大学の二次試験や難関理系私大の過去問とその改題を収録し解説する内容となっている。本書に関してよく指摘されるように、この本は問題を解く問題集というよりは、読んで解法を理解する参考書のようである。解説の書き方も東京出版より刊行の往年の月刊誌「大学への数学」での「1対1対応の演習」や「新数学スタンダード演習」での解説書き方を思い起こさせる。変に妙にクドくなく無駄がなくて簡潔で本質を突いた手際の良い問題解説記述になっている。

本当は大学入試数学の「難関大学受験対策」と銘打った難関国公立大学の二次試験や難関理系私大の過去問解説の類書はその他多くあるのだけれど、東京出版の「大学への数学」に馴染んでいるそれ好みの受験生は、本書「真・解法への道」を選択してやるのがよい。

箕輪浩嗣「真・解法への道・数学ⅠAⅡB」に関しては、問題集として使うのではなくて、参考書代わりに熟読して解き方のだいたいの方針(アプローチ)を事前に覚えておき、本番の試験で類題が出てきた際に同様の手法でその場で解いていくのが本書の効果的な使い方であろう。すなわち、これこそが「真・解法への道」。