アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

モッズな生活(4)モッズスーツのこと(その1)

「スーツは男の戦闘服」といったところで、以下2回に渡り「モッズスーツのこと」など。

実は私はスーツが大好きで、だいたい50着くらいは持ってる。正装以外でのプライベートの遊びの時もスーツで出かけるくらいだから(笑)。よく人から「スーツ着用でファッションに気合い入ってますね、頑張ってますね」とか言われるが結局、スーツは楽なのである。スーツはジャケットとパンツのセットアップなので、上下のコーディネートを考えなくていいし、遊びの時はノータイで適当な柄シャツかカラーシャツを合わせて、後は自動的にスーツ上下を着ればよいだけだから。それで冬の寒い時やバイク乗るときは、さらに上からモッズコート羽織ってマフラーするくらい。スーツは楽チンなのである。あれこれ服の組み合わせを悩まなくてよい。「私服のコーディネートにズボラな私」にはピッタリっていう(笑)。

さてスーツにも色々な型がある。イタリア型、イギリス型、アメリカ型。断然、私が好きなのは英国はイギリス型のモッズスーツだ。イタリアの「Armani」(アルマーニ)など、素材の生地は良いけれどジャケットもパンツもシルエットが太い。それでアメリカの「Ralph・Lauren」(ラルフ・ローレン)などは、スーツと呼ぶには略式でカジュアル過ぎる。やはりスーツは細身の英国系じゃないと。そんなわけで着るのは、もっぱらイギリスのモッズスーツである。モッズスーツは「細さ」が命だ。モッズ映画「さらば青春の光」を観ると劇中で主人公のジミーがスーツをオーダーするとき、「もっと細くして!」と言っている。

私は高校卒業してからスーツを買い始めるのだが(大学の入学式に出るのにスーツが必要だったので)、そもそもスーツが好きになったのは「東京スカパラダイスオーケストラ」の影響である。デビュー当初から「洋服の並木」(ようふくのナミキ)でオーダーしたモッズスーツをスカパラの皆さんが揃(そろ)いで着ていて、サーモンピンクのスーツとか。「あー細身のモッズスーツって普通のサラリーマンのオッサンが着ている2つボタンのダブダブ・スーツと違って、かっこいいなぁ」とか思った(笑)。「やっぱスカパラみたいにスーツは細身で3ボタンだな」とも。

最初に購入したのは「Paul・Smith」(ポール・スミス)。しかし、ポール・スミスは英国ブランドといっても、実は太い…ジャケットのシルエットとかパンツとか全体に。普通のサラリーマンのオッサンが仕事中に着るような無難なスーツで全然モッズじゃない。スーツ自体は作りも良くて仕立ての高級感はあるのだが。

それでポール・スミスはあきらめて、細身のスタイリッシュなスーツでたどり着いたのが「katharine・Hamnett」(キャサリン・ハムネット)。ここのスーツは細くて生地も縫合もシルエットもよく、3ボタン以外にも4ボタンなどのバリエーションがあって、気に入って一時期よく買っていた。でもキャサリン・ハムネットは高いんでね。そしたらハムネットの兄弟ブランドで、カジュアル・ラインの「Morgan」(モルガン、モーガン)があるの知って、ハムネットよりも安くて、そこそこ作りもよいので何かシーズン新作ごとに購入したりしてた。モルガンはスーツに合わせる柄シャツやカラーシャツのセンスも良く、ノータイのセットアップでキマる。あと「Trans・Continents」(トランス・コンチネンツ)、通称「トラコン」のスーツも割合、細くて好きだった。今でも頻繁に着る。

よく言われる「モッズの5大ブランド」ある。例えば「Ben・Sherman」(ベンシャーマン)。このブランドは日本国内では主にカジュアル展開だが、実は海外にはスーツやネクタイ扱うビジネス・ラインがある。一度購入してみたが、ベンシャーマンのスーツは確かに裏地にターゲットマークなど入っていてモッズぽいけれど、スーツ自体のシルエットは全然モッズじゃない…かなり太い。ポール・スミスに似た感じである。やはり海外で普通のオッサン・サラリーマンが仕事用に着るスーツの感じ。個人的には、あまりオススメできない。その他、ベンシャーマンではモッズコートが絶対に「買い」。これはオススメ。価格が高いけれど、ベンシャーマンのモッズコートは非常に作りがよい。表の生地の質感も裏地も首回りのファーも完璧な芸術的逸品だと私は思う。「ベンシャーマンは、モッズスーツはいまいちなのにモッズコートが最高!」というバランスの悪さが笑える。

かたや「Merc」(メルク、マーク)、英国はカーナビ・ストリートにある老舗のモッズ専門店。ここのスーツは細身で適度に細いし、生地・縫合・シルエットともに、そこそこ良い。数着持って毎日のローテーションに入れて損はない感じである。職場にネクタイ着用で仕事で着ても違和感ないし、遊びでノータイでも決まるし重宝する。メルクはチェック・シャツは普通によいけど、ジャージやブルゾンなど(だいたい原色カラー配色が多くて「69」のロゴが入っている)、何か子どもっぽい気がする。ただスーツ、スクールジャケット、靴関連はデザインが洗練された大人な雰囲気がある。

「Lambretta」(ランブレッタ)もスーツを出しているけれど、ここは元々バイク・スクーターのメーカーなので、スーツに関してはカジュアル服の延長のような印象がある。スーツ製造にて、あまり独自のノウハウや技術は持っていない感じ。ランブレッタのスーツを店頭で試着したことがある。かなりの細身で「正直、買いではないかな」と私は思う。どうせランブレッタを買うならジャージかセーターかシャツを購入した方が賢明かと。やはりランブレッタは元々バイク・スクーターのメーカーなので、バイクに乗る人を意識して洋服を作ってるようなところがある。ランブレッタ・クロージングは、ジャージでもセーターでもシャツでも生地が丈夫で縫合が頑丈。それで「ランブレッタのスーツは普通にパスした方がよいか…」と。だが、あくまでも個人的感想なので、ご参考程度に。

あと「Lonsdale」(ロンズデール)は、これまたメルクと同様、イギリスのカーナビ・ストリートにあるモッズの老舗だが、ここはボクシング用品のスポーツ衣料から始まっているのでセットアップの上下スーツは販売していないと思う。ただ、ロンズデールのジャージ素材のクラブ・ジャケットとかスクール・ジャケットは「買い」。私も大好きなロンズのロゴが入っているし。ロンズデールはTシャツ、ジャージが定番でかなり良いことは今さら言うまでもない。だいたい毎シーズン、私は買ってるな(笑)。

月桂樹がロゴの「Fred・Perry」(フレッド・ペリー)もロンズデール同様、スポーツ衣料のメーカーで、こちらはテニス関連である。フレッド・ペリーがセットアップのスーツを出してるのも聞いたことがない。フレッド・ペリーで買うならセーター、カーディガンの類いだろう。上品きれい目なカジュアルだし。特にフレッド・ペリーの日本企画は生地・縫合ともに高品質だ。ただフレッド・ペリーはカーディガンでもセーターでも他のブランドと比べて割高なので。私は、もっぱら夏に定番のポロシャツ買うか、秋冬ラインのカーディガンかセーターを値下げを待って購入する感じだ。

海外のスーツメーカーで個人的に非常に好きでオススメなのは「Adam・Of・London」(アダム・オブ・ロンドン)。ここのスーツは縫合・シルエットも良いし、使っている生地がこれまたかなり良い。光沢の入った生地とか、よくあるので。普通、既成品のスーツで光沢生地などあまり採用しない、オーダースーツじゃないと。それで、ここのスーツは肩のラインもきれいだし、価格もそんなに高くない。たぶんポール・スミスのスーツ1着買うよりも安くて、しかも高品質だ。ただアダム・オブ・ロンドンは日本国内で普通に販売してるのをあまり見たことがない。以前、私が住んでた家の近くにモッズ専門店(「プラスチック・ヘッド」)があって、そこは個人輸入か独自のルートでアダムのスーツは揃えていた。昔よく行って購入したけれど、その店も途中で移転しまい非常に残念である。たまたま店頭でアダム・オブ・ロンドンのスーツ見かけてサイズが合えば「即買い」ではある。少なくとも1着は持っていて損はないと私は思う。

「Mark・Powell」(マーク・パウエル)。厳密には細身のモッズスーツではないけれど、英国のブランドで非常に洗練された作りのスーツだ。「手間ひまかける丁寧な良い仕事っていうのは、こういうことを言うのか」とスーツに袖(そで)を通すたびに思う。何か好き。

これは紛(まぎ)らわしいのだが、ただの「Smith」(スミス)。だからポール・スミスとは違う。正直、海外ブランドなのか日本のブランドなのか、私にはよく分からない。ただ以前、ピンストライプのダブルのスーツを購入したら相当によかった。機会があれば、また買いたい。スミスはカジュアルな服も展開させている。

あと変わり種では「Shellys」(シェリーズ)のスーツ、珍しくて以前に購入したことがある。イギリスにある洋服屋のシェリーズなのか、靴のメーカーのシェリーズなのかよく分からなかったけれど。肩のラインとか全体に雑な作りの印象受けて、私はあまり感心しなかった。

(※以上は、あくまでも私の至極勝手な個人的スーツ着の感想であること、あらかじめご了承ください。ショップの方、各ブランド関係者の方々、ごめんなさい)