アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

大学受験参考書を読む(39)堀木博禮「入門編 現代文のトレーニング」

以前に代々木ゼミナールの現代文講師であった堀木博禮(ほりき・ひろのり)が、同じく元代ゼミ同僚の英語講師、西きょうじの書店売り参考書「ポレポレ英文読解プロセス50」(1993年)に関し、「人の参考書を読み通したのは初めてだ。英語は読めなかったが、…

大学受験参考書を読む(38)今井健仁「現代文の解法 東京大学への道」

今井健仁「現代文の解法・東京大学への道」(2009年)は副題が長く、「東大法学部生が明かす読解力不問の論述パターン学習」というサブタイトルがついている。また「東京大学法学部・現役東大生が明かすパターン学習による完全現代文攻略本」ともあり、高校…

大学受験参考書を読む(37)青木裕司「世界史講義の実況中継」

語学春秋社の「××講義の実況中継」シリーズは、予備校での生の講義を(おそらくは)その場で録音し講師のしゃべりをそのままテープ起こしした大学受験参考書であり、私が学生の時にはすでにあった。 ところで、学校を卒業してからも授業中に先生が脱線して熱…

最新!

このブログ全体のための最初のノート

今回から新しく始める「アメジローのつれづれ」(※以前に別の場所でやっていたブログ記事をそのまま移動しているため全く同じ文章があります。しかし、それは赤の他人の第三者によるコピーとか盗作・剽窃(ひょうせつ)ではありません。当ブログを書いている…

京都喫茶探訪(1)クンパルシータ

今回から始まる新シリーズ「京都喫茶探訪」である。以前に京都でよく行った純喫茶のことなどを。ただ昔よく行った喫茶店への私の思いを書いているだけで、「あの店の由来や歴史はこうで」のタメになる話や「得々メニューはこれだ!」のようなお薦め情報はな…

モッズな生活(3)ホンダ ジョルカブ

最近、イギリスでの、いわゆる「モッズ」たちによるスクーター・ランの雑誌記事を見た。皆さん、かなりカスタムしてデコレーションを入れた状態のよい「ベスパ」(Vespa)や「ランブレッタ」(Lambretta)を所有していて、モッズ=「貧しい労働者階級のリア…

太宰治を読む(8)「兄たち」

太宰治の本名は津島修治である。太宰は⻘森県北津軽郡⾦⽊村の出⾝である。太宰の⽣家は県下有数の⼤地主であった。津島家は「⾦⽊の殿様」と呼ばれていた。⽗は県議会議員も務めた地元の名⼠であり、多額の納税により貴族議員にもなった。津島家は七男四⼥…

太宰治を読む(7)「兄たち」「鉄面皮」

「太宰治全集」にて私には⼀時期、太宰と⻑兄で家⻑たる兄・⽂治とのやりとりがある作品箇所だけ、わざと選んで読み返す楽しみの趣向があった。太宰治の本名は津島修治である。太宰は⻘森県北津軽郡⾦⽊村の出⾝である。太宰の⽣家は県下有数の⼤地主であっ…

太宰治を読む(6)「パンドラの匣」

太宰治は、すぐに薬物中毒になったり何度も自殺未遂を繰り返したりで「生れて、すみません」の陰気な暗い男であり、よって彼の作品も「斜陽」(1947年)や「人間失格」(1948年)のような暗い陰気な小説が多いように一般に思われがちだが、実はそうではない…

太宰治を読む(5)「トカトントン」(中島敦「悟浄出世」)

特集「太宰治を読む」だが、今回は趣向を変えて中島敦「悟浄出世」(1942年)について。そして最後に少しだけ、本当に少しだけ太宰治「トカトントン」(1947年)のことなど。中島敦は、かなりよい作家だと思う。この人は病気で三十代で若くして亡くなったた…

太宰治を読む(4)「畜犬談」

太宰治「畜犬談」(1939年)は基本、滑稽路線でおもしろい。しかし最後は「芸術の目的」をぽろっと白状して話を締める、よい小説だ。主人公(たぶん太宰)は犬嫌いである。先日、通りすがりの犬にガブッと咬まれた友人の災難を紹介した後、次のように「犬へ…

太宰治を読む(3)「眉山」「お伽草紙」

太宰治といえば「人間失格」(1948年)を書いた人で、何度も自殺未遂を繰り返し五度目の心中にていよいよ逝(い)ってしまった、何だかいつも「生れてすみません」などと言っているような陰気で暗い友人もいない孤独な人のように思われがちだが、実はそうで…

太宰治を読む(2)「惜別」

書簡か何かの作品か、どこに書いていたのか思い出せないが、太宰治が「日本には芥川龍之介という短編小説の大変な名手がいるが、その後この分野でいい人が出ていないので、ひとまず自分が頑張ってみたい」という旨のことをいっていた。短い中でエッセンスを…

太宰治を読む(1)「津軽」

太宰治、この男は四回「自殺」未遂をやって、五回目にとうとう逝(い)ってしまう。猪瀬直樹「ピカレスク・太宰治伝」(2000年)を読むと分かるが、太宰治の重ね重ねの「自殺」は決して本気で死にたいと思って「自殺」をやっているわけではない。太宰の度重…

江戸川乱歩 礼賛(22)「ぺてん師と空気男」

江戸川乱歩の「ぺてん師と空気男」(1959年)は題名が素晴らしい。タイトルだけで言えば、乱歩の作品では「目羅博士の不思議な犯罪」(1931年)と双璧をなす名タイトルであるように思う。本作は「ぺてん師と空気男」とそれぞれに、あだ名される二人の男の奇…

江戸川乱歩 礼賛(21)「パノラマ島奇談」

江戸川乱歩「パノラマ島奇談」(1927年)のあらすじはこうだ。「売れない物書きの人見廣介は、定職にも就(つ)かない極貧生活の中で、自分の理想郷を作ることを夢想していた。そんなある日、容姿が自分と瓜二つの大富豪・菰田(こもだ)源三郎が病死したと…

江戸川乱歩 礼賛(20)「一寸法師」

江戸川乱歩は、昭和の始めに明智小五郎の長編物「一寸法師」(1927年)を「朝日新聞」に連載して、あまりの出来の悪さに自己嫌悪に陥り「一寸法師」連載終了後に失意の放浪の旅に出て、しばらく休筆で筆を折る。このことを後の乱歩自身の回想文にて言わせる…

江戸川乱歩 礼賛(19)「堀越捜査一課長殿」

私は、江戸川乱歩の作品は乱歩個人の全集や傑作集や他作家とのアンソロジー(「日本の探偵小説名作選」のようなもの)ら様々な書籍にて読んでいるが、自分の中では創元推理文庫より昔から出ている「日本探偵小説全集」での第二巻に当たる「日本探偵小説集2…

江戸川乱歩 礼賛(18)「緑衣の鬼」

江戸川乱歩「緑衣(りょくい)の鬼」(1936年)は、以前に乱歩が絶賛したフィルポッツ「赤毛のレドメイン家」(1922年)の骨格を借り乱歩なりの趣向にて肉付け創作した、いわゆる「翻案小説」だ。そのため、本家のフィルポッツ「赤毛のレドメイン家」を既読…

江戸川乱歩 礼賛(17)「群集の中のロビンソン・クルーソー」

「群集の中のロビンソン・クルーソー」(1935年)は江戸川乱歩の随筆選に必ずといってよいほど収録されている作品で、乱歩の代表的エッセイといってよい。本作タイトルの「群集の中のロビンソン・クルーソー」とは、どういう意味のどういった人物なのか。「…

江戸川乱歩 礼賛(16)「大暗室」

江戸川乱歩「大暗室」(1939年)は「暗黒星」(1939年)とタイトルが似ており、ほぼ同時期の雑誌連載作である。だからなのか、私はいつも両作を混同してしまう。また乱歩の通俗長編は長期連載にあたり、乱歩自身が結末をあらかじめ考えず場当たり的に自転車…

江戸川乱歩 礼賛(15)「暗黒星」

江戸川乱歩「暗黒星」(1939年)は戦前乱歩の明智探偵シリーズ、通俗長編の最後の方のものだ。話の概要は奇人資産家・伊志田鉄造の一家を襲う血の惨劇の物語であり、神出鬼没で万能な犯人に一家は、ことごとく裏をかかれて伊志田屋敷の洋館にて一人また一人…

江戸川乱歩 礼賛(14)「化人幻戯」

「化人幻戯(けにんげんぎ)」(1955年)は、江戸川乱歩が六十歳の還暦記念パーティー席上にて「還暦を機に若返って新作を書きます」と明かしたもので、江戸川乱歩ひさびさの本格長編である。しかも、初出連載は推理ミステリー雑誌「宝石」ということで往年…

江戸川乱歩 礼賛(13)中井英夫「乱歩変幻」

江戸川乱歩研究や探偵小説評論、乱歩作品に関する書評は昔から多くあるが、なかでも私にとって印象深い乱歩についての文章は、創元推理文庫「日本探偵小説全集2・江戸川乱歩集」(1984年)巻末に書き下し解説として付された中井英夫「乱歩変幻」だ。探偵小…

江戸川乱歩 礼賛(12)「屋根裏の散歩者」

江戸川乱歩の短編と長編を含めた全時代(オールタイム)ベストを選ぶとすれば、おそらく世人の一致するところで初期短編の「屋根裏の散歩者」(1925年)は必ず上位に位置するに違いない。少なくとも私の場合、乱歩のオールタイムベストとして「屋根裏の散歩…

江戸川乱歩 礼賛(11)「D坂の殺人事件」

江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」(1925年)が昔から好きだ。本作は本格の短編であり、「日本の開放的な家屋では密室事件は成立しない」という従来の声に対抗して乱歩が書いた日本家屋を舞台にした密室殺人である。密室の他にも格子越しに二様に見える浴衣柄の…

江戸川乱歩 礼賛(10)「何者」

江戸川乱歩の全短編の中で私は「何者」(1929年)という本格の作品が特に好きだ。「何者」は、乱歩の全作品の中で個人的ベスト3以内に入るほどの出来栄えであり、本当に素晴らしい隙(すき)のない清々(すがすが)しい本格推理だと思う。(以下、犯人の正…

江戸川乱歩 礼賛(9)光文社文庫「江戸川乱歩全集」

江戸川乱歩に関し、皆さんは小学生の頃にポプラ社の「少年探偵団」シリーズでジュヴナイル(少年少女向け読み物)の乱歩に親しみ、それからしばらく空白があり、大人になって再び江戸川乱歩を読み返して再評価する「乱歩返り」(?)のパターンが、おそらく多…

江戸川乱歩 礼賛(8)「湖畔亭事件」

江戸川乱歩「湖畔亭事件」(1926年)の概要は、およそ次の通りだ。「湖畔の宿で無聊(ぶりょう)にかこつ私は、浴室に覗き眼鏡を仕掛け陰鬱(いんうつ)な楽しみに耽っていた。或る日レンズ越しに目撃したのは、ギラリと光る短刀、甲に黒筋のある手、背中か…