アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

大学受験参考書を読む(88)西きょうじ「英文法の核」

駿台予備学校の伊藤和夫による英語参考書の「教室三部作」といえば、「英文解釈教室」(1977年)と「英文法教室」(1979年)と「英語長文読解教室」(1983年)であるが、ニ冊目に当たる「英文法教室」など英文法の受験参考書として分かりづらい。英文解釈以外の、英文法や英作文に対する伊藤師の教える気の情熱のなさが一貫して感じられるのである(苦笑)。前にどこかで非公式に伊藤師は言っていたと思うが、「ネイティヴでない日本人が英作文を学んでも、結局のところ本物の英文は書けないから」といった旨のこと。だから伊藤和夫は英文解釈は本気で教えるけれど、英文法や英作文に関しては、どことなく微妙な手抜きの感が常に漂(だだよ)う。

英文法の大学受験参考書は今でも数多く出ている。私は不思議な思いがする。英文法など最初に一度学んで英語の文法原理が分かってしまえば、後はそこまで懸命に学ぶ必要はないからなぁ。時制の一致も関係代名詞も仮定法も現在完了も、一度その原理を知れば、それまでである。英文法の解説書に、そこまで多種類の多くのバリエーションの需要はあるのか!? 

私は、近年出ている大学受験参考書の英語の英文法の書籍はだいたい読んでいるけれども、例えば関正生「真・英文法大全」(2022年)は、ページ数が多く分厚くて読了するのに時間がかかるので受験生の英文法学習には、あまり実用的ではないと思える。関正生「真・英文法大全」は、昔からある宮川幸久・綿貫陽「ロイヤル英文法」(2000年)に、その読み味が似ている。

成川博康「深めて解ける!英文法・INPUT」(2014年)は、「なぜそうなるか」を掘り下げ、深めて納得させる英文法解説がウリの参考書である。しかし正直、「そこまで著者の解説が上手い」とか、「より根本的で本質的に説明し尽くしている」とまで思えない。あと本書は英文法の解説項目の網羅性にやや欠ける。取り上げて解説している英文法事項が限定的で少ない。

西きょうじ「英文法の核」(2016年)は、解説がコンパクトでそこまでクドくなく、英文法を初学の高校生や学び直しの受験生に最適だと思う。最近の英文法の参考書でおすすめである。本書にて、比較的短時間で英文法の全分野の概要の原理が効率的に学習できる。

英文法の参考書を昔から連続して読んでいると、もう革命的な「目からウロコ」の新しい英文法の教え方など、そうそう出てこない。昔から英文法解説の定番の教え方の基本の型は、だいたい決まっていると思える。