アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

天才 岡村靖幸(2)「靖幸」

岡村靖幸=「岡村ちゃん」のアルバム「靖幸」。何のひねりもない、そのままな名前のタイトルだ(笑)。この時期は、いわゆる「岡村ちゃん上昇期」なので、どんな曲作ってもどんな詞書いても何をやっても岡村ちゃん、カッコよすぎ。

「だいすき」(シングル・カットでテレビCM使用曲)とか、「ラブ・タンバリン」(おそらく昔あった、とんねるずの「ねるとん紅鯨団」という素人恋愛告白番組を見て作ったであろう曲)などの普通の曲を歌っても見事にキマルし、「どんなことをして欲しいの僕に」や「聖書」のコントのようなセリフ入り一人芝居ソングを長々と延々とやっても、聴く人を飽きさせず斬新で新鮮でカッコよい。

「どんなこと…」はカラオケに入っているかどうか知らないが、この歌のセリフ部分「ねぇ、君の×××中で××させてよー。きれいな×××て××××したいよー」など普通の人が歌ったら絶対変態のセクハラである(笑)。捕まるか訴えられる。だが岡村ちゃんが歌うと普通なので、やはり「岡村マジック」だ。ちなみにセクハラか否かの多くの判定は「何を言ったか」ではなくて、「誰が言ったか」で決まる(笑)。世の中にはそういった不条理がたくさんある。

「聖書」は曲展開が凝っていて、ねちっこくて、しつこくてホーンセクションも重厚でよいし、「Punch」の男子軍団と女子軍団(女子のリーダーは「サイズ」(PSY・S)のチャカだ)の掛け合いコーラスや、キスで目を閉じたときに星がキラッと出るベタな効果音演出(笑)。「だってさ、だって、もしだよ、戦争なんか起きたらどーすんだよ」のセリフの後に、いきなり「タンゴ!」ってなって岡村ちゃんが踊りまくる設定とか、才能あふれまくりで、もう誰にも真似できない他の追随を許さない。「どんなものでも君にかないやしない」岡村ちゃん、独走状態である。

最後に裏ジャケの岡村ちゃんモノローグもよいので、ここで引用してみよう。

「君は医者の娘でサーファーでB型だ/僕は高校生のくせにアパートに一人暮らしだ/これだけで物語は・すごく限定されてしまうわけだが・ポピュラリティという気持ちいいソファーを手に入れられる/全く海は大嫌いだ/死ぬ程人がいるし、ゴミだらけだし、ベトベト砂が付く/そんな生活感バリバリのシステムはまっぴらだ/その点・君も僕と同じく・プールが好きだったのはすごくラッキーだった/今も僕らは・こうやってプールに寝そべっている訳だけど/ねえ・さっきから君の言ってること・てんで変だよ・解ってる?/この熱さでいかれちゃったのかな/それとも・この熱さでマインドが開放され・本性を剥出しにしてるのかな/どっちにしろ・僕もかなりいかれてるよ/ねえ・君となら結婚してもいいよ/こんな熱い日には愛し合えばすぐにベッドは海や河になってしまう/だから今夜は僕のアパートの屋上で試してみようよ/君の家は大きくてクーラーが部屋ごとにあるんだけど/ひとつをつけると全部の部屋のクーラーがついちゃうシステムになってて・おかあさんがけちってつけてくれないんだ/だからさ・ねえ・今日は帰らないで僕んとこに泊まりなよ/ああ・結婚できたら・いつも・こんな風に君が帰る時・悲しい想いをせずにすむのに・靖幸」。

岡村ちゃん、普通の人と感性の次元が違う。やっぱこの人、天才だわ(笑)。