アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

大学受験参考書を読む(60)「ザ・予備校」

1980年代に高校生で90年代に大学進学した私らの世代、つまりは1970年代生まれは、いわゆる「団塊ジュニア」の第二次ベビーブーム世代にあたり、そのため大学進学を希望する高校生も多くいて大学受験指導の予備校業界が最盛期の絶好調で、世相も昭和から平成にかけてのバブルの時代の只中であったけれども、私は当時から予備校文化にどっぷりハマっている同年代の人達にあまり好感が持てなかったし正直、共感もできなかった。

結局のところ、大学受験は大学進学のための一つの通過点でしかないのだから進学希望の大学に合格するために受験勉強はもちろんやるけれども、大学進学を果たしたら、そんな受験時代のことはやがては忘れてしまう。高校生や浪人生の時点で受験科目の勉強内容以外のこと、特定の予備校講師の熱烈「信者」になって予備校講師の格付けランキングに熱中したり、予備校講師が執筆の大学受験参考書の収集や批評をやったりしていた友人らは、私には幼稚で浅はかに思えた。事実、そういった予備校文化にハマっていた私の周りの人達は大した大学合格実績を残せず希望校以外での不本意な進学を果たしたり、現役合格はおろか泥沼にハマって二浪三浪したりして大学受験に関しては散々な人達が、どちらかと言えば多かったように思う。

また大学を卒業して社会人になった後でも、いまだに予備校文化にハマって熱く語り続ける大人も、幼稚で成熟していない「子ども大人」というか、私はどうかと思いますよ(笑)。最近ではネット上の動画で一時代を風靡した往年のカリスマ人気な予備校講師が華やかで勢いがあった、かつての予備校業界の内幕(当時の最高収入や契約内容の詳細や他予備校からの引き抜きの実態やライバル講師との確執など)を語ったり、またそういった業界裏話を知りたがり聞きたがる人が多くいて、その手のサイトが人気であるようだが、そういう話を語る方も聞きたがる方もそこそこの年齢の大人であるのに誠に気の毒ながら、どちらかと言えば皆さん年の割には風貌も若く見えて精神的に幼く思える。

さて、第三書館編集部編「ザ・予備校」(1986年)である。本書は1980年代、かつての勢いがあって華やかなりし予備校文化の当時の実情がうかがい知れる書籍である。私は本書を以前に軽く読んだことがある。私は大学受験科目の勉強内容には今でも大変に関心興味があるが、他方で受験勉強の内容以外のこと、例えば全国各地の予備校勢力図だとかカリスマ人気講師の移籍動向の行く末など、予備校文化には全く関心がなかったので書籍の内容は忘れた。

前述のように、高校生や浪人生の時点で受験科目の勉強内容以外のこと、特定の予備校講師の熱烈「信者」になって予備校講師の格付けランキングに熱中したりするような、予備校文化にハマる人達は、本筋の受験勉強がおろそかになり学力が下がって大した大学合格実績を残せず希望校以外での不本意な進学を果たしたり、現役合格はおろか泥沼にハマって二浪三浪したりして大学受験に関しては散々な結果になる人が多くいたので、当時の高校生や浪人生で本書「ザ・予備校」を楽しんで読んでいる人が仮にいたなら、その学生は大学進学に際しては上がり目がなく、ある意味「終わっている」と思う。

そういった意味で「ザ・予備校」は若い学生の受験生にとっては決して手を出して読んではいけない、有害な「悪魔の書籍」という気も私はする。また大学を卒業して社会人になった大人も、大学受験科目の勉強内容以外の所で予備校文化にずっとハマったままでいるのは非常に恥ずかしく、成熟すべき大人としてどうかと正直私は思うので、本書は現在そこまで熱心に読まれるべき書籍ではない。