アメジローのつれづれ(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。

モッズな生活(6)「モッズ メイデイ25th」

「モッズ」=労働者階級の若者たちだから基本、金がなくて大変である。そんな中でレコードを買ってモッズスーツもオーダーしてスクーターもオイル交換とかやり日々色々と入り用なので、例えば音楽マニアのように服装に無頓着でひたすらレコードやCDだけ買いまくってコレクションするわけにはいかない。音楽もファッションも交遊も全て均質で、そこそこスマートでなくてはいけない。その辺りの「バランスのよさ」がモッズのモッズたる所以(ゆえん)だ。

いわゆる「オタク」や「マニア」や「コレクター」ら、一つの物や分野に偏(かたよ)って固執する生活嗜好にバランス感覚がない人はズバリ野暮(やぼ)。悪いけれど、モッズはそんなセンスの悪い奴らとは付き合ってられない、鼻で笑う。だからモッズ系のバンドも音楽として、そんなに「ずば抜けて音がよい」というのはあまりないような気がする。「服装や出で立ちや振る舞いも含めた総合的な音楽センスの良さ」というか。「音楽のための音楽」というよりは「日常生活の延長上でファッションや映画や本などと同列。生活の楽しみの一部としての音楽」。しかし、それもまたよし。

「モッズ・メイデイ」というモッズな人達によるイベントが定期的にあるが、これは日本版「モッズ・メイデイ」の25周年記念のCDで、今までの出場バンド音源を集めたオムニバスである。収録バンドの皆さんには申し訳ないけれど、やはり全体に音楽的には小粒な感じする。だが、音楽の背後にある雰囲気やセンスのよさは十分に伝わる。

オムニバスの1曲目の最初にいきなり「ハイロウズ」(High-Lows)で何かびっくりする。「ハイロウズってモッズなの?むしろロッカーズでは?」と思う。でもカッコよい。2曲目の「コレクターズ」(Collectors)は貫禄十分。コレクターズは昔から日本のモッズ代表バンドである。3曲目で「東京スカパラダイスオーケストラ」も入っている。曲は「ジャスト・ア・リトル・ビット・オブ・ユア・ソウル」。正確にはスカでないが、よい曲だ。4曲目の「スクーターズ」(Scooters)の「東京ディスコナイト」は、日本でモッズが定着し始めの時代の懐かしい感じがする。

私が好きなのは5曲目の土岐麻子在籍の「シンバルズ」(Cymbals)と、11曲目の「スクーピー・ドゥー」(Scooby・Doo )。特にスクービー・ドゥーの「圧倒的な」づくしの歌は、かなりよい。スクービー・ドゥーは、いつも定期的に地元の小さなライブハウスに来ているが、もっと大きな箱でやれるくらい人気が出て、そこそこ売れてもいいバンドだといつも私は残念に思う。スクービー・ドゥー、もっと売れろ(願望)。