アメジローのつれづれ(集成)

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大学受験参考書を読む(57)三浦五郎「三浦の日本史頻出問題150選」

かつて代々木ライブラリーから出てた三浦五郎「三浦の日本史頻出問題150選」(1988年)は、非常に懐かしい大学受験参考書だ。私は高校生の時に購入し問題を解いていた。その後、ずっと自室の書棚にあった。

本参考書を購入した1980年代当時、高校生だった私は地方都市在住で、私の街には代々木ゼミナールの直営支店校舎はなく、また昔は現在の「フレックス・サテライン」のような、東京は代ゼミ本校の有名講師の講義を受講できる映像メディアを介したブースでの視聴システムの学習形態もまだ普及していなかったし、つまりは「大学受験教育の地域格差」が露骨にある時代で、そもそも代ゼミに在籍の人気講師のことをあまり知らなかった。もちろん、代ゼミの日本史講師で菅野祐孝や前田秀幸ら、書店売り参考書を何冊も派手に出していた全国レベルで知られている一部の超有名講師は知っていたけれど。そういったわけで「三浦の日本史頻出問題150選」を執筆した代ゼミの日本史講師の三浦五郎という人を当時から、そして今も私はあまりよく知らないのである。

三浦五郎「日本史頻出問題150選」は、私立大学の日本史入試の過去問を一度バラバラに解きほぐし、山川出版の日本史教科書の時代別の単元順に再構成して掲載し、その原始・古代から近現代までの「通史」と、最後に法制史や史学史や女性史らテーマ史と総合問題からなる「部門史・総合問題」を収録して全150問、タイトル通りの「日本史頻出問題150選」となる。

本書に「セット学習法」というネーミングがあるのは、各問題の合間に「セット」という小見出しで、相互に連想して関連づけたり、違いに注意し混同しないよう区別して、まさに「セット」にして覚えるべき重要基本や盲点となりやすい歴史語句と歴史の内容事項を著者の三浦五郎が書き出し、まとめている本参考書の解説記述の工夫に由来している。またこの「セット」のまとめ同様、「三浦のアドバイス」というのも各問題の合間に頻繁に記載されている。例えば「遺跡の重要な地名は、都道府県名をみながら地図をチェックしよう」や「六国史をすべて順番に覚えよう。つぶやきながら、紙に何度も書くのがよい」や「被仰出書・教育勅語・教育基本法の史料を、3回読みこんでおこう」といった日本史学習に関しての三浦五郎からの「アドバイス」がある。今読み返しても素朴で微笑(ほほえ)ましく、「高校生や大学受験に臨む浪人生の日本史の勉強は何だかいいな」の感慨がわき起こる。